二酸化炭素ガスの電気化学的還元

論文

K. Murata, H. Tanaka and K. Ishii
“Electrochemical Reduction of CO2 by a Gas Diffusion Electrode Composed of fac-Re(diimine)(CO)3Cl and Carbon Nanotubes”
J. Phys. Chem. C, 123, 12073-12080 (2019).
(Supplementary Coverに採用。)

https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.jpcc.8b12505

本研究では、fac-Re(diimine)(CO)3Cl触媒およびカーボンナノチューブを組み合わせたガス拡散電極を用いて、二酸化炭素(CO2)の電気化学的還元反応を実現しました。 CO2雰囲気下におけるサイクリックボルタンメトリー測定により、CO2還元に基づく顕著な触媒電流が観測され、また定電位電解実験により、本反応ではCO2から一酸化炭素(CO)への2電子還元が進行していることが明らかとなりました。ガス拡散電極の調製条件をスクリーニングしたところ、その触媒能が触媒分子とカーボンナノチューブの混合比と担持量、および印加電位に強く依存することが分かりました。この結果は、電極中の触媒層における電気伝導度と、プロトンおよびCO2の拡散度が反応効率に強く影響することを示しています。本研究成果は、ガス拡散電極を用いる電気化学触媒システムの合理的設計のための指針を提供するものです。

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