微生物分光

これまでに分子化学は、生命機能解明のために、モデル分子の解明→タンパク質などの複合分子の解明へと発展してきており、多くの成果を挙げている。

一方、生物中の微小な環境変化(複合体生成など)により、酸化還元電位などの電子的性質が変化することは良く知られているため、生物そのものを分子化学の観点から解明していくことこそ、今後の分子化学における重要課題である。

そのような観点のもと、生物そのものを分光する研究を行っている。対象は電流生成微生物 Shewanella loihica PV-4である。この微生物は、細胞外電子伝達によって電流を生成するため、微生物燃料電池としての応用が期待されている。

この細胞外電子移動では、外膜に多量に存在する鉄ポルフィリン錯体・シトクロムC(CytC)が媒介することが知られており、その電子構造が機能解明に重要であること、CytCは大きな吸光係数を有し、"光"を用いた様々な測定に適していること等の利点を有することから、"生物そのものを分子化学の観点から解明"する良いモデルケースとなりえる。

      

拡散透過法、光導波路分光法を微生物分光に適用し、生きている生物中の機能分子を選択的に観測する方法を開発した。

S. Mori, K. Ishii, Y. Hirakawa, R. Nakamura, and K. Hashimoto
"In vivo Participation of Artificial Porphyrins in Electron Transport Chains: Electrochemical and Spectroscopic Analyses of Microbial Metabolism"
Inorg. Chem., 50, 2037 (2011).

Y. Zhao, K. Watanabe, R. Nakamura, S. Mori, H. Liu, K. Ishii, and K. Hashimoto
"Three-Dimensional Conductive Nanowire Networks for Maximizing Anode Performance in Microbial Fuel Cells"
Chem. Eur. J., 16, 4982 (2010).

A. Okamoto, R. Nakamura, K. Ishii and K. Hashimoto
"In vivo Electrochemistry of C-type Cytochrome-Mediated Electron-Transfer with Chemical Marking"
ChemBioChem, 10, 2329 (2009).

R. Nakamura, K. Ishii, K. Hashimoto
"Electronic Absorption Spectra and Redox Properties of C Type Cytochromesin Living Microbes"
Angew. Chem. Int. Ed., 48, 1606 (2009).

  

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